痔核は静脈瘤ですから、主に血流のうっ滞が原因です。妊娠により子宮が腫大し静脈還流を阻害してできるもの、長時間の座位を続ける職業の人にできるもの等があります。 また、明らかな静脈瘤を形成せずに、粘膜の脱出(いわゆる脱肛)のみを生じるものもあり、これは粘膜、血管の支持組織の脆弱化が原因です。いきみ等の排便習慣が脱出を招くと考えられます。
殆どのいぼ痔はこの二つの原因を含んでおり、その割合により出血を生じるタイプ、脱肛を生じるタイプ、両方生じるタイプに分けられると思います。
裂肛は硬い便の排出によって粘膜が切れて生じるものが殆どです(下痢で切れることもあります)。慢性化する事により、より深部の筋肉の損傷、硬化を招き、筋肉の拘縮が起こるため肛門狭窄という状況になります。
痔瘻の成因は明らかではありませんが、肛門陰窩(肛門皮膚と直腸粘膜の境目の窪み)から細菌が圧力により押し出され、筋肉の間や腸と骨の間の柔らかい組織に膿瘍を作る肛門周囲膿瘍がその原因と考えられます。裂肛の表面が治り、深部がトンネルとして残ることによってできる粘膜下痔瘻というものもあります。クローン病(粘血便を伴う難治性疾患)等の初発症状であることもあります。