十二指腸の病気十二指腸は胃に近い方から球部、球後部、下行部(第2部)、水平部(第3部)にわけられ、全体の長さはおおよそ12横指です。腹部の臓器ですが、膵臓と共に背側の腹膜(お腹の空間の内張の膜)の後側にあるため、疼痛は背部に出ることもあります。下行部には肝臓からの胆汁、膵臓からの膵液といった消化酵素を出す乳頭部があります。十二指腸自体が分泌するアルカリ性十二指腸液が胃酸を中和します。これ以外にも様々なホルモン(内分泌といい血液中に産生されます)をだし、消化吸収にはかなり重要なバイプレイヤー的存在です。 (図 医学書院 医学大事典 @胃A幽門B球部C下行部D水平部E上行部F空腸G球後部) |
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十二指腸潰瘍若年者に多く、男性に多い傾向があります。胃酸過多が最も大きな原因と考えられていますが、ヘリコバクターピロリが高率に検出されるため、除菌の適応となる方が殆どです。 胃酸過多の原因としての、ストレス、暴飲暴食等は患者さんご自身で改善していただき、胃酸過多自体はPPI(ガスター、タガメット等より強力な制酸剤)で治します。 十二指腸は胃よりも壁が薄く、腹痛のない場合が20%程度あるので、穴があいて緊急手術になることも多い病気です。潰瘍の治った跡が特徴的なポケット状の変形を作ることもあります。 |
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十二指腸ポリープBrunner腺腫という良性腫瘍の頻度が最も多く、悪性のポリープは非常に稀です。炎症性ポリープも多くみられます。Brunner腺腫はBrunner腺の過形成により腫瘤を形成したもので厳密には腺腫ではありません(癌化がないということ)。粘膜下腫瘍の形態をとることが多く、内視鏡上は平滑筋腫、脂肪腫等との鑑別が難しいこともありますが、上皮性腫瘍のため生検で確定診断可能です。 腺腫はBrunner腺成分のない上皮成分の増殖を指し、悪性化があります。 |
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十二指腸炎@発赤型Aびらん型B粘膜粗造型に分類します。@不整形の発赤、A隆起型あるいは平坦型のびらんがみられます。しもふりびらんが多くみられます。B白色調の粗大顆粒状小隆起が散在します。鳥肌様呈します。 |
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十二指腸憩室傍乳頭部憩室の頻度が最も多く、その他はまれです。胆道、膵系に障害を及ぼすものをレンメル症候群といいます。 |
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